CW ARCHIVES
授業レポート 表現メソッドIV「ナラティブ」
2012年11月23日(金) 担当:新元良一先生
表現メソッドは小説に使われている技法についての授業です。小説に使われている様々な技法を「プロット」「視点」「ストーリー」「ナラティブ」の4つに大きく分類し、物語を展開させる方法や小説全体の構成要素から、描写や人物たちの会話といった細部にわたって講義を行います。
表現メソッドIVでは「ナラティブ」という「小説の語り」について学びます。
テーマに沿った短編小説を毎週1作品取りあげ、語り手がどんな調子で物語を語っているかを理解し、小説全体にどういった影響を与えるのかを考えます。
今回は太宰治の小説「燈篭」を読み、「信頼できない語り手」についての授業を行いました。

「燈篭」では、主人公のさき子が好意を抱いている水野という学生への思いや、
彼のために行なった盗難の経緯などがさき子自身の言葉で語られます。
この小説の読みどころは、語り手のさき子が本当のことを話しているのかどうかが怪しく、
さき子が意識して隠しているのか、意識せず語っているのか分からないところです。
学生たちはさき子の印象や、どういったところが信頼をなくす要因なのかを話しあいました。

信頼できない語り手は、読者に何を隠そうとしているのか、もしくは隠しているのではなく語ることができないのではないかと、我々読者はその人物が抱える問題に興味が沸きます。
話し方に人柄が表れるのは小説も現実も同じであり、登場人物の語り方を書き分けることで、
読者の興味をひくような魅力のある人物を描けるのでしょう。

(文・鵜飼慶樹)
| 2012.11.23 Friday | レポート | 投稿者:ukai |