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授業レポート 制作基礎II「レビューを書く」
2012年11月21日(水) 担当:河田学先生
創作基礎IIではレビューの書き方について学びます。
この授業ではレビューの対象となる作品や物をまず体験し、作品への理解を深めることからはじめます。学外に出かけて展覧会や建築物を観て紹介したり、料理を口にして感じた味や食感を言葉に変えて批評したりします。。

今回は舞台芸術学科のダンス公演「音連れ」を観賞した上で、
作品についてのレビューを書き、みんなで合評を行いました。
舞台芸術学科の公演を観てのレビューを書く取り組みは今年で3年目です。
合評には舞台芸術学科の学生も参加してくれるようになりました。

文芸表現学科の学生たちは演劇やダンスの公演をほとんど観たことがなく、レビューとして何をどう書けばいいのか分からない様子でしたが、ダンスという言葉を使わない表現は新鮮で、それを言葉で表現する面白さは感じたようです。
また、舞台芸術学科の学生は、自分たちの表現がどのように理解されたり、感じたりされたのかを知る機会として、この取り組みを刺激に感じてくれているようでした。
「自分たちが舞台上で行われる表現をすべて理解しているわけではありません。こうやって書いてもらったり、質問を受けることで、自分たちが舞台の上でなにをしていたのか改めて知ることができました」という感想をいただきました。

今回の合評で取り上げられた学生のレビューをひとつ紹介します。

芸大生の本気
音と身体の共鳴


「音連れ」
2012年11月3日(土)―4日(日)
京都芸術劇場 studio21
企画・演出・振付・構成:大谷悠
出演:上野愛実 定行夏海 成田果央

 京都造形芸術大学 舞台芸術学科第3期生による卒業制作公演が同大学 京都芸術劇場studio21で行われた。過去にいくつもの授業発表公演をこなして培ってきた4年間の技術の集大成をここで見ることができる。
 声帯や呼吸を全身に取り込むことで現れる違い。それに対する期待と好奇心から始まったというダンス公演「音連れ」。真っ暗な静寂から、破けてぼろぼろになった服を着て登場する出演者たちが発する声(声帯から空気を吐き出した結果)、呼吸(鼻孔や口からの空気の出入り)の音、地を叩く音。「音にあふれた騒がしい物体」である彼女たちは音を連れてきた。機械的に流れるBGMの中で浮いた肉声が、身体の部位を連呼する。言われた方はその部位を動かす。2人の奇妙な応酬に干渉することなく一定の動作を続けるもう1人。繰り返しの中に突如として現れる変化は目を惹きつける。やがて3人は独立し、それぞれの表現に専念する。
 鉄棒をこする音や床を踏み鳴らす音さえ響く静けさの中で意識してしまうのは、その音よりもむしろ、どんな音も聞き逃すことのできない無音の方だった。自分の心音が聞こえてくるたびに観客を自然に巻き込む演出なのだろうか、自分も参加していいのだろうかともやもやする。喧噪のなかでは淘汰されてしまう身体の音は、静と動でいうなら静に分類されるだろう。けれど、静の中にも確かに存在する動の部分を強調する表現は、私の音の概念をわずかに変えた。
 逆光で見えぬ演者の表情とは対照的なくっきりと濃い影は、さながら主役のような存在感だった。意図せずとも乱れる呼吸をあえて乱すことで、無意識に行われる呼吸を我がものとする試み。自分の体をすみずみまで支配し、それによって生まれた全身をあますところなく使った演技は圧巻だ。激しさのないゆっくりとした動きは困難なうえに難解さが目立つ。しかし、その難解さは光や音によって、美しさに昇華していた。

藤本武(文芸表現学科1回生)


| 2012.11.21 Wednesday | レポート | 投稿者:ukai |